レジオネラ症防止対策指導者講習会
公益社団法人全国建築物飲料水管理協会(全水協)の主催によるレジオネラ症防止対策指導者講習会が令和2年1月28日(火)、東京文京区の全水道会館で開催され、44人が受講しました。この講習会は、建築物における感染症予防に関する技術講習会事業の一環として、レジオネラ症防止対策について指導的な役割を担える人材を養成することを目的とした講習会で、厚生労働省並びに公益社団法人全国水利用設備環境衛生協会(水利協)にご協力頂き、それぞれ講師をお招きしての開催となった。
開講に当たり、開講式が行われ、その中で、全水協業務執行理事である佐藤佳雄副会長より、講習会の主旨や目的、レジオネラ症の現状等について説明が行われました。
講習会では、初めに厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課課長補佐である北村牧子講師より「建築物衛生法における維持管理基準の規定について」をテーマに講義が行われました。続いて、公益社団法人全国水利用設備環境衛生協会理事で事務局長である岸本明講師より「レジオネラ症と水利用設備における予防対策(入浴施設)」をテーマに講義が行われました。
昼食を挟み、「冷却塔・冷却水系におけるレジオネラ症対策」をテーマに全水協理事である竹内彌吉講師が、「過炭酸ナトリウムによる配管洗浄について」をテーマに佐藤佳雄講師が、「給湯設備におけるレジオネラ症対策」をテーマに全水協事業委員会副委員長である尾台荘悟講師が、「消毒概論(入浴施設・給湯設備における消毒方法)」のテーマについて全水協理事である堀井清志講師が、それぞれ講義を行いました。
わが国では、超高齢化社会を迎え、レジオネラ症に対する関心や危惧の意識がますます高まってきています。レジオネラ属菌は昔から自然界の土壌や河川、湖沼等に広く生息している環境細菌で、人間が作り出す人工環境や各種施設が彼らにとって快適で住み心地の良い環境となり、我々にとってより身近な存在になっています。
わが国のレジオネラ症は、その発生の85%以上が入浴施設であると言われていますが、近年はかけ流しの温泉や加湿器、給水設備からの発症も報告されております。
レジオネラ症患者の届出件数はここ数年2,000人を超え、2019年は2,314人となりました。都道府県別でみると、多い順に東京都、愛知県、神奈川県、大阪府、埼玉県、千葉県、兵庫県となっています。
全水協では、14年前の平成18年にレジオネラ症防止対策指導者講習会を開催し、それ以降、平成21年と平成26年に、資格更新のための再講習会を行ってきた。その成果として、毎年、全国のいくつかの支部、部会で、レジオネラ症防止対策講習会を開催しており、平成26年からは、公益社団法人全水協の認定資格である「貯水槽水道衛生管理士」講習会でも、テキストの第3章を「循環式浴槽及び給水・給湯のレジオネラ症対策」として、レジオネラ症対策の大切さを学んで頂いています。
今回の講習会では、受講者の方々に、「なんのために」、「どんな方法で」、「何をすべきか」の命題のもと、まずは会員企業が事業の一部門として、配管洗浄や給湯設備の管理というビジネスとして取り組むことを望んでおります。
しかしながら定期の配管洗浄だけではレジオネラ症を防ぐことはできないため、施設管理者による日常管理がいかに大切かを施設の方々とともに考え、それぞれの施設に最適な管理の方法を模索して助言や指導をして頂くことを期待しています。